犬は蚊に刺されることで、フィラリアという寄生虫に感染してしまう危険があります。子犬にも予防は必須。
特に問題なのが、春夏生まれの子犬を6月~9月ごろに家に迎える場合。
予防はいつからいつまで?生まれたばかりの子犬に薬を飲ませても大丈夫?子犬を迎えてすぐに感染検査は必要?
他にも、薬をネットで買ってもいい?予防の効き目は長い方が安心?などなど疑問がたくさん。
子犬のフィラリア予防についてまとめます。
フィラリア症とは? 感染すると子犬にどんな症状が出る?
フィラリア症は犬の寄生虫症の1つ。きちんと対応しないと、子犬を危険な目に合わせてしまう恐ろしい病気です。
蚊に刺されることで次々と感染する
フィラリアは蚊を媒介して感染が広がります。フィラリア症に感染している蚊が犬の血液を吸う時に、フィラリアの幼虫を犬の血液に寄生させてしまうことで、次々と感染します。
日本国内には多数の蚊が生息していますので、蚊のいない環境で子犬を育てることは不可能です。フィラリア症は日本で暮らす子犬たちにとって、大変身近な病気で、予防が不可欠です。
感染すると、元気がない、咳が出る、呼吸困難などの症状が出る
フィラリア症に感染すると、次のような症状が現れます。
- 元気がない、動きたがらない
- 興奮時や早朝に乾いた咳が出る
- 食欲がない
- 貧血や呼吸困難を起こす
- かっ血(血を吐く)
- 血尿
他にも、腹水がたまる、肝臓の肥大、むくみなどの症状もありますが、医師でないと判断は難しいところ。上記のような症状が見られたら速やかに受診しましょう。
急性フィラリア症では死の危険も
犬の体内に入ったフィラリアの幼虫は皮膚の下や筋肉などで成長し、やがて血管を通って心臓付近に寄生するようになります。フィラリアが心臓に住み着くと、全身の血液の流れが悪くなり、心臓病や肝臓病、腎臓病などの病気を引き起こしてしまいます。
こうなると治療はとても困難。手術で摘出するか、駆除のために副作用の強い薬を使うしかなくなり、犬は最悪死の危険もあります。
フィラリア症は薬で予防できる
感染するととても恐ろしいフィラリア症ですが、薬で予防することができます。どんなに注意していても子犬が蚊に刺されてしまうことはあります。子犬がフィラリアに感染しても早期退治できるように、子犬にもしっかりと予防薬を使いましょう。
子犬のフィラリア予防薬、どんなタイプがある?
予防薬には、飲み薬、滴下式、注射など様々なタイプがありますが、主流は月に1回飲むタイプです。飲み薬にも錠剤、顆粒、チュアブルなどがありますので、かかりつけ医に取り扱いのある薬を確認しましょう。
子犬のフィラリア予防薬、効き目は長い方が安心?
月に1回薬を飲ませるなんて、もし忘れてしまったら大変!もっと予防効果の長い薬はないのでしょうか?
あります。注射タイプでは効き目が1年というものもあります。ただし効き目の長い薬は、子犬にはオススメしません。
フィラリア予防薬は、犬の体重をもとに適量が計算されます。子犬は生後1年くらいまではぐんぐん成長しますので、できれば毎月薬を処方してもらう方がよいのです。薬の量が少なくては肝心のフィラリア症を予防することができませんし、多すぎては子犬の体に負担がかかります。
効き目が長い薬は、子犬の体の成長がゆるやかになり、体重が安定してから検討しましょう。
子犬のフィラリア予防はいつから始める?
フィラリア症の予防はいつから始めるとよいのでしょう?年間スケジュールとしては、蚊が出現し始める頃から予防薬を使用します。日本だとだいたい5月~11月の間は月に1回、薬を飲み続ける必要があります。
ただし、投薬期間は地域によっても異なります。いつから飲み始めるか、いつまで飲むかは医師の指示に従ってください。
生後まもない子犬にはいつから薬を飲ませる?
生後まもない子犬にもフィラリア予防が必要です。では予防薬はいつから飲ませればよいのでしょうか。だいたい生後60~90日ごろから投与を始める、という獣医さんが多いようです。
予防接種と時期が重なると子犬の体への負担が大きくなる、と考える獣医さんもいます。地域の蚊の多さや出現時期にもよりますので、いつから薬を投与するか一度かかりつけ医に相談しましょう。
春夏生まれの子犬のフィラリア予防はいつから?
ここで問題になるのが春夏生まれの子犬たち。特に蚊の活動のピーク時期である6月から9月ごろに、ペットショップやブリーダーさん、または知人の方から子犬をお迎えする場合です。
- すでにフィラリア予防薬は摂取し始めているかどうか?
- 薬を飲んでいないのであれば、蚊にさされている可能性があるかどうか?
を確認しておきましょう。
生後まもない子犬であれば外に出ることも少ないので、蚊に刺されている可能性は低いと思います。しかし譲り受ける時期や子犬の月齢によって、いつから薬を投与するのか変わるので注意が必要です。
フィラリア予防薬の副作用とは?どんな症状が出る?
フィラリア予防薬で副作用が出る可能性は低いと言われています。しかし、どのような副作用が出るかを知っておくことは、子犬の命を守るためにとても大切です。
1番多い副作用は、下痢、嘔吐
フィラリア予防薬の副作用として最もよく報告されているのは、下痢や嘔吐です。薬を飲ませたあとにこのような症状が出た場合は、薬が子犬に合っていない可能性がありますので、医師に相談しましょう。
また、薬を飲んですぐに嘔吐してしまった場合、薬が子犬の体内に吸収されていない可能性があります。このとき追加で投与すべきかどうかは自己判断せず、必ずかかりつけ医に確認しましょう。
ぐったりしている場合はすぐに受診も視野に入れて
薬の副作用として、飲んだあと子犬がぐったりしてしまうことがあります。時間がたって、元通り元気になることもありますが、ぐったりしている場合はアナフィラキシーショックの可能性も考えられます。
他にも、痙攣や呼吸困難、ふらつく、浮腫、などの副作用が起こることがあります。普段と明らかに様子が違うようなら、早めの受診をしましょう。
副作用が出ることも考慮して薬の投与日を選ぶ
初めて投与する薬は、子犬に合わなくて副作用が起きる可能性もあります。薬の副作用は、飲んでから30分後から半日くらいの間に現れることが多いので、よく様子を観察するようにしましょう。
万が一重篤な副作用が出た場合、すぐに病院に連れていけるように、休診の日や留守番をさせる日を避けて投与することも大切です。
フィラリア予防薬はネットで買える?買ってもいい?
昨今はインターネットでも予防薬が買えるようになりました。子犬の薬もネットで買ってもよいのでしょうか?答えはNOです。理由は2つあります。
シーズン始めはまずフィラリア感染の検査から
フィラリア予防薬を投与する際は、まず必ずかかりつけ医の診察を受けて下さい。どうしてかというと、万が一すでに子犬がフィラリア症に感染していた場合、予防薬を飲むとアレルギー反応を起こす可能性があるためです。
まずは病院でフィラリアに感染してないかどうか血液検査を受けて、感染していないことが判明してから予防薬を処方してもらいましょう。
ただし子犬の場合、万が一フィラリアに感染していても、ある程度幼虫が大きくならないと検査で陽性がでないこともあるようです。いつから検査を受けられるのかは、検査の方法によって異なりますので、かかりつけ医に確認しましょう。
なお、子犬に限らず成犬になっても、前年度の余った薬をいきなり使ったり、ネットで購入した薬をいきなり飲ませるのは避けてください。
予防薬は体重によって処方が異なる
もう1つの理由は、フィラリア予防薬の量や大きさは子犬の体重によって変わるため、医師の指示をあおぐべきだからです。
子犬は成長が著しく、半年の間にどんどん体が大きくなり、体重も増えます。長い期間にわたって飲み続ける予防薬なので、必ずかかりつけ医で処方してもらってください。
まとめ 恐ろしいフィラリア症を予防するために
フィラリアは恐ろしい病気ですが、薬で予防することが可能です。
子犬を感染症から守るために、蚊のシーズンが始まる前に、かかりつけ医に早めに相談しましょう。そして、予防薬を飲み忘れないよう、スマホのアラームを活用するなどして、子犬を守ってあげましょう。